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それでも空は
『それでも空は青い』 荻原浩・著

色々なジャンルの作品を収めた一冊
人生のターニングポイントに立った‟大人達”の過去を振り返り「今」を見つめ直す物語かな?
7つの物語が収められてます

一番好きだったのは、最後の「人生はパイナップル」
タイトルに反して、おじいちゃんと孫の物語
戦中から戦前台湾でパイナップル畑を営んでいた祖父と
祖父と同じ「プロ野球選手になる!」事を夢みた孫との物語

AI人工知能やロボットが身近にある生活が半ば当たり前になった「今」
今より少しだけ未来?の話「あなたによく似た機械」
名作映画「ブレードランナー」(全然雰囲気は違いますけどね)を彷彿とさせました
自分が機械=ロボットだと自覚したロボットの気持ちを思うと、切ない・・・

「君を守るために、」
家族同然可愛がっているペットが「誰かの生まれ変わり」だったら?
嬉しい?それとも、ちょっと困る?どっちでしょう


日常の中に少しだけ入り込んだ「非日常」を描いた作品たちです
生きていれば、色々な事が起こる 良いことも悪いことも
本人達にとってはとても大変な事だけど、日常は淡々として続いていく

という感じでしょうか?物語のテイストはそれぞれ違いますが、どの物語も楽しく読めました

2019.09.24 
ほのぼのしたカバーイラストと真逆!衝撃作!!
明日の食卓
『明日の食卓』 椰月美智子・著

児童虐待をテーマにした物語です

奇しくも、小学三年生9歳の「イシバシユウ」くんが暮らす3つの家族の物語

夫の地元にUターンし、義母と敷地内別居で暮らす専業主婦・あすみ
夫婦仲も義母との関係も良好
一人息子の優も男の子としては大人しめだが、成績も優秀でクラスメートとも良好な関係を築き
家庭でも学校でも問題はなさそうだったが
ある日、クラスメートの母親から優が同級生に怪我をさせた!と連絡が入る

長男の悠宇と次男の巧巳の兄弟の母親・留美子
出産と育児の為に仕事をセーブしていたが、最近仕事を再開しはじめたフリーライター
夫はフリーのカメラマン
男の子2人兄弟の育児は大変だが、再開したライターの仕事も順調に依頼が入りはじめ
仕事にやりがいを感じはじめたが、夫は仕事の契約が切られてしまった
夫婦仲に溝が生じはじめ、それは子供達にも影響が出始める

離婚し一人息子の勇と肩寄せ合うように暮らす、シングルマザーの加奈
コンビニと工場と必死に働くが、生活はなかなか楽にはならない
でも、母親思いの勇に助けられ、慎ましくも幸せな日々を送っている


3つの「石橋家」
それぞれが平穏は生活を送っていくが
ほんの一滴 さざ波が立つような出来事が起こる事によって
家庭が崩壊しそして「我が子の虐待」(一歩手前)へと繋がっていく


そして、ある日
奇しくも我が子と同じ名前・年齢の「イシバシユウ」くんが
母親からの虐待を受け死亡する事件のニュースを目にする





可愛らしいカバーイラストに騙された~(><)

自分は結婚もしてないし、子供も居ないのでので
この本の話は申し訳ないけど「他人事」とお気楽に?物語として楽しんでしまいました
(言い方はよくないけど)
児童虐待のニュースは哀しいかな「定期的」に報道されてます
知り合いや街中で見る親子・・・・正直「大変だなぁ・・・」って思います
私は絶対子育てなんて出来ない無理!!自分の事さえ‟ままならない”のに
「人を育成」するなんて無理です・・・世の「おかあさん」方は凄いです

「母親」が我が子を虐待しようと思って生んで育てたりは決してしないと思います

でも「虐待」ってほんの些細な事を切欠に起こる事なのかもしれませんね

2019.09.18 
サバの大将!第6冊目
鯖猫6
『鯖猫長屋 ふしぎ草紙(六)』 田牧大和・著

長屋一の威張ん坊・三毛の雄猫「サバの大将」とその弟子?拾楽が活躍する
『鯖猫長屋』シリーズ6冊目です

江戸の町で、髷を切る「髷の辻斬り」が横行する
程なくして、「成田屋の旦那」=同心・掛井が手下として使える平八親分が下手人を捕まえるが
下手人・福竹屋の若旦那は濡れ衣を掛けられた!と
若旦那は懇意にしている寺社奉行の口添えもあり放免されるが
掛井と平八は窮地に立たされる

行き掛り上、またしても拾楽とサバが掛井達を助けるべく力を貸す事になるのだが
若旦那の本性と、その裏に隠されて寺社奉行の事情が明らかになっていく

そして、前作で昔馴染み?のあざみの出現によって‟おはま”との関係に変化が起こった拾楽
拾楽の来し方と、長屋の住人としての拾楽の立場とおはまとの関係がまたしても変化した一冊でした



”おてる”はじめ、長屋の皆は拾楽を最初から「仲間」と認めていたけど
肝心の拾楽は、長屋の住人と一歩も二歩も距離を置いていた感じがあります
シリーズ6作目にして、拾楽自身も芯から「自分も長屋の仲間」と自覚出来たような気がします
勿論、それには‟おはまちゃん”の存在と言葉があったんでしょうけどね
☆ それ以前に、サバの大将の存在はなにより大きいですけどね

次作以降、長屋仲間としてコシを据えた拾楽の活躍が楽しみではあります!!
そして、なんとな~くサバの正体も垣間見えた一冊でもありました


サバと妹分のさくら 足して2で割るとふじこだなぁ~といつも思いつつ読んでいる作品です


☆ 本作での「あとがき」は大将が務めてくれてますよ

たきと白犬”おっかさん”はどーなったんだろう?
次作に登場してくれるのかな?

2019.09.17 
お坊さんだって「人間だもの」
坊さん
『坊さんのくるぶし 鎌倉三光寺の諸行無常な日常 』
 成田名璃子・著


寺のお気楽な跡取り息子・高岡皆道は僧侶としてあまりに素行不良な為
住職である父により、鎌倉の三光寺に修行に出されることになる

三光寺は宗派を超えて、皆道のような問題アリ・訳アリの修行僧が集められる
‟仏教界”では有名な寺であった
皆道は同じ日に入門した陽元・定芯・源光と「新到(新人の修行僧)」として厳しい修行生活に入る
不動明王のような外見どうように厳しい指導をする禅一
男でも見惚れてしまう弥勒菩薩のような優しい高仙ら先輩僧侶たちの指導の元
俗世と離れた生活を送っていく

新到・4人にそれぞれ仏教・僧侶になる理由があったように
禅一や高仙達にも、仏教・仏道に入る理由があった

頭を丸め墨染の衣を身に着けていても、「坊さん」達は煩悩に悩まされ続けている若者達
20代から30代の「若い修行僧」達の煩悩に悩みながら
それぞれが、それぞれの「仏の道」を模索する物語

三光寺の貫首・円諦貫首が洒脱でなかなかの策士です
仏陀とは、貫首のような人なのだろうな~と思えます




人生の中で一番楽しい時期20代から30代前半の若者達が主人公です
一般的には一番欲望塗れの年代です
自ら望んでいたり、人にはなかなか話せない事情で「仏」に救いを求めて仏道に入った者達です

一年間三光寺で修行した4人は、それぞれ別の「仏道」を歩む事になるのですが
どれもが「正解」なのだと思います
物語的にはヒール役になってしまいましたが 美貌の僧侶・高仙の進む道も決して外道ではないと思う・・・と


ネタバレも含みますが、結局皆道は三光寺へ残り修行を続ける道を選びます
彼はどういうタイプの僧侶になるのでしょうか?
「師匠」禅一のような自分にも他人にも厳しい熱血タイプになるのか?
ルックスは悪く無さそうなので?高仙タイプになるのか?
彼の3年5年後位の物語を読んでみたい気持ちになります




2019.09.11 
遠野屋清之介、懊悩する・・・・・
鬼を待つ
『鬼を待つ』 あさのあつこ・著

切欠は職人同士の喧嘩だった 江戸の町ではよくある事・・・・
しかし喧嘩の一方は自ら首を括り 一方は凄惨な惨殺死体となって発見される

その頃、江戸の女達に評判の‟遠野紅”を扱う「遠野屋」を江戸屈指の大店「八代屋」が
その遠野紅共々遠野屋そのものを我が物にしようと画策する

八代屋の狙いは商い以上に、遠野紅に生産地・そして清之介の生国でもある嵯波藩の政を牛耳ること
清之介の陰の手先となった源庵より嵯波藩国元の政変を知る清之介
嵯波の紅と店を守る為に思案する最中、八代屋が惨殺される

喧嘩と八代屋の殺害は、妻おりんの殺害方法と繋がっていく
そして清之介が手を切ったはずの闇がまた 新たな姿清之介には恋しい人の姿
となって彼の元へと現れてくる・・・・



『弥勒の月』シリーズ9作目です
人気シリーズも長く続くと、中だるみというか飽きてくることもあるのですが
清之介と信次郎に限っては、良くも悪くもシリーズが重なる毎に「新たな闇」の世界を見せてくれます

今回は亡き妻おりんに酷似した‟およえ”という女性が登場!
彼女に会った清之介は‟らしく”なく動揺し、恋する男性の姿を見せてくれます
そして、清之介に恋する少女‟おちよ”も
清之介を巡る恋情の物語が今後展開する予感です
私的に・・・・清之介には亡き妻おりんに操を捧げたまま・・・逝って欲しい

そして今回も、何か脇役的配置になってしまった信次郎
相変わらず「寄らば斬る」って感じですけどね
この方は何を考えているのか分からない
この人の虚無感の源というか、信次郎の誠が解る時がこの物語の終わりなのかな?とも

そして、清之介と信次郎。2人の『鬼』に挟まれて気苦労の人 伊佐治親分
今回も「いい仕事」してくれてます
しかし!!タフだわ伊佐治親分!!並みの人間なら2人の鬼の間に挟まれたら
ストレスで鬱になるか、胃に穴開けて血吐いて死んじゃうと思います

タイトル『鬼を待つ』 鬼だらけですわ
清之介も信次郎も、そして・・・・・およえ・・・・
そしてどんなに善人でも、心の奥底に「鬼」が潜んでいて、ちょっとした切欠や揺さぶりで
その鬼が顔を出す
鬼の中の鬼は誰なんでしょうね・・・・・

あさの氏がこの物語にどういう決着をつけてくれるか?勿論私如きには想像も出来ません
(まだ決着は付けて欲しくないけどね)

これから先がまたまた楽しみになります

2019.09.06