久しぶりの‟梶よう子”氏の本です
墨の香
『墨の香』 梶よう子・著

物語の舞台は、老中・水野忠邦が辣腕を振るった江戸時代後期

奥右筆を務める旗本岡島家の息女・雪江
目付森高家へ嫁いだが、理由も告げられず離縁させられ
実家へ戻り、筆法指南所(今の書道教室)をはじめる事に
年頃の娘達の師匠として、女書家として己の書と向かい合う日々を送っている

弟子である多感な年頃の娘達が起こす‟ささやかな出来事”や
若くして当主となった美形の弟・新之丞に振り回されたり
娘時代に仄かな憧れを抱いた兄弟子の豹変に心乱されたり
雪江の女心は時に千々と乱れる
波立つ気持ちを
墨の香りに癒され心穏やかな日々を営んでいた

しかしある日、元夫・森高章一郎が当時江戸を騒がせていた
異国船が絡む事件に巻き込まれ難しい立場にいる事を知る
事件の当事者である忍藩藩士と知己を得て、雪江も巻き込まれていく
そして元夫・章一郎との再会し・・・・・


物語の冒頭、雪江と‟女子力の高い”弟・新之丞との賑やかな朝のやりとりからはじまります
凛と芯の強い「武家娘」のお手本のような雪江ですが
実は酒豪!嫋やかな外見に反して、父・采女が「男であったなら」と事あるごとに愚痴たように
中身はかなりの「男前」
時代小説としては、かなり砕けた現代語に近い言葉で綴られいるので読み易いですし
何より、初恋?の相手に再会したり、元旦那?を忘れられず思い悩んだり
若い娘達にほんの少しの嫉妬を感じたりする雪江の姿は
現代の女性と同じ、身近に感じられる存在でした

女子力高い新之丞と、何やら訳アリっぽい髪結いの銀次も気になる
物語は「元の鞘」に収まって、大団円?をむかえているのですが

深読みするれば、訳アリ人物が多そうで
続きというか?スッピンオフ的に雪江以外の人物でも
物語が広がっていきそうなんですけどね


物語の底辺には、「書」「文字」が生きる上で人との関係を築いていく上で
時には声よりも、己の気持ちを素直に表せる物であるかを説いてくれます
『世の中に悪筆などない、己の気持ちが素直に表せる書はすべて良い書』
というような事を、菱湖先生も雪江先生も説いてくれています

悪筆の私は、ちょっと救われたような気持ちになりました
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2018.03.25 


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