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『梨園』で起こるサスペンスか?と思ったら違いました
胡蝶殺し
『胡蝶殺し』 近藤史恵・著

「蘇芳屋」を率いる中堅歌舞伎役者・市川萩太郎は、
急逝した中村竜胆の遺児・秋司の後見人を引き受ける
自分の息子と同じ年齢の秋司に
歌舞伎役者として特に“踊り”の才能に恵まれている事を見抜き
先の成長を楽しみにしていた

息子・俊介の初舞台に秋司の共演を企画し稽古に励むが
初日前日に秋司はおたふく風邪に患い、それが元で右耳の難聴を患い
結局、秋司は「梨園」を去ることになる

秋司が梨園を去って、12年後
萩太郎が「秋司には役者としての素質に劣る」とみていた
息子俊介は市川小萩として、女形の若手歌舞伎役者として人気を博していた
「京都顔見世興業」をきっかけに萩太郎・小萩は秋司と再会する

秋司が梨園を“踊りを辞めた”理由が明らかになり
12年前萩太郎・俊介と約束した「春鏡鏡獅子」の“胡蝶舞”で梨園復帰を果たす



何かというと色々話題になる歌舞伎界『梨園』を舞台にした
親子 師匠と弟子の心理的葛藤を描いた物語です

舞台は『梨園』という特殊な世界ですが
そこにあるのは、父と息子 や 母と息子という普通の家族です
自分の息子が何よりも一番愛しい者ではあることに変わりはないけれど
同じ“仕事”を生業とする息子に、息子より才能が恵まれた弟子がいたら
どちらにより重要な仕事を任せるか?
父として師匠として懊悩しますよね

そして、年端もいかない子供と思っていた息子と弟子は
父・師匠の想いをどう受け止めて
そして、幼いながらも自分自身の生き方を決意しているものです


文庫300Pほどの作品ですが、テンポが良くてスラスラ読めてしまいました
私は勿論、父・萩太郎に近い年齢ですし、萩太郎目線で物語を読みましたが

秋司・俊介世代(中学~高校生)の人が読むとまた違う感想になるのかも?


物語の後半、俊介がいい事言ってます!
『後悔すればいい (中略)
みっともなくても、下手くそでも、失った時間を後悔する事になっても(中略)
芝居がはじまれば、やるしかなくなるんだ!』




もしかして、この人は実在の歌舞伎役者○○さんの立場に近いのでは?
この登場人物はまるで△△さんのような?と思う事もあったりして

歌舞伎の演目の話が物語りの背景として出てきますが
ポピュラーな演目で“素人”でも分かるように簡単に物語のあらすじを“語って”くれているので
歌舞伎が分からなくても問題なく物語を楽しめます


『歌舞伎』 学生時代の芸術鑑賞授業とプライベートでも
片手に余るくらいしか拝見した事はありませんが
劇場のお客様の雰囲気は実にフランクなんですよね
升席ならお弁当食べながら鑑賞できたりするし
って、思い返していたら「歌舞伎」ちょっと観たくなっちゃいました


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2017.01.29 


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