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お盆ですから
とむらい屋
『とむらい屋颯太』 梶よう子・著


江戸・新鳥越町の片隅に、葬儀の段取りをする「とむらい屋」がある
女と見間違える程優し気な風貌の主人・颯太
枕団子をつくったり死化粧を施す十六歳のおちえ 
棺桶作り職人・勝蔵とその弟子の正平、雑用をこなす寛次郎
そして何処の寺や宗派にも属さないにも関わらず、あらゆる宗派に通じる
美声の僧侶・道俊
武家出身の医師・重三郎

不思議な縁で繋がった「とむらい屋」の面々が立ち会った「死」と葬儀の場での人間関係が綴られていきます

「弔い」は死者の為でなく、遺された生者の為のモノ
生き残った者が、近しい人の「死」との折り合いをつける為のモノだと颯太は言います

人はどんなに孤独であっても、誰かしかと繋がり
そして「別れ」は誰にもいつか平等に訪れるもの
夫婦や親子、幼馴染 恩人 色々な死と弔いの風景が6つの物語として綴られています


 
お盆で戻ってきている愛しい人やパートナー(ペットもアリですよね?)
今は彼岸の住人となった人達を暫し想い出します

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2019.08.09 
タイトル読み 思っていたのと違っていたけど、心に突き刺さった・・・・
瑕疵借り
『瑕疵借り』 松岡佳祐・著

「原発関連死」「不慮の事故死」「自殺」「突然死」
借主が‟普通でない原因”で亡くなってしまった家・部屋
『心理的瑕疵物件』といい、次にその部屋を借りる人には告知義務があるという

その瑕疵物件を‟敢て”借りて、その瑕疵の原因を「洗い流す」ことを専門とする
瑕疵借りを生業とする藤崎が住んだ4件の物語が綴られています


私も部屋を探す時に、はじめて「事故物件」という言葉を知りました
その部屋で事件があったり、またその部屋で不審死があった場合が「事故物件」という
と思っていましたが
この本読んで‟えっ?こういう事まで瑕疵になってしまうのか”と
(そのうち日本全国「瑕疵物件」だらけになっちゃわないか(--?)

瑕疵の原因を一番気にしているのは、その物件のオーナーでも管理会社でもなく
遺された遺族や故人と関わりになった人達なのかもしれません
色々な理由があれ、その死因に少なからず自分が関わっている
時に、「あの時」の後悔をずーっと引きずって生きていくことになる

瑕疵借り・藤崎は、遺された人達の後悔の想いを洗い流してくれる



本のタイトルだけを見て「ホラー系♪」と思って手にとりましたが
心に突き刺さる一冊でした 
私的には、『土曜日のアパート』
東日本大震災の原発事故、除染作業に従事した作業員・峰岡と
女子大生・琴美との束の間の交流を描いた話ですが
峰岡のような人が実在するのかもしれない、と・・・・・



ひとり暮らしなので、他人事ではないなぁ~~と
自分自身が「瑕疵」の原因にならないように気を引き締めて?日々を営んでいこう

2019.07.30 
久しぶりの北村氏
中野のお父さん
『中野のお父さん』 北村薫・著

出版社・文芸部の編集者の田川美希
都内のマンションに一人暮らし、毎日作家と編集の仕事に追われる日々

時に仕事上で又は美希の日常で起きた謎に遭遇する
それは世間を騒がせるような事件ではないけど
作家や文学「業界内」では、ちょっと不思議な出来事
そんな「謎のまま置いておいても差し支えないけど、やっぱり気になる」出来事を
美希の実家・中野にいる、定年間近の国語の高校教師である「お父さん」に
父親‟孝行”のついでに、相談を持ち掛ける

この「お父さん」が安楽探偵よろしく、娘の話を聞いただけで
鮮やかに謎解きをしてしまう
そんな日常ミステリーの短編集です


北村氏の作品の中で、「円紫師匠シリーズ」が大好きなのですが
そのテイストに近いです

円紫師匠シリーズの主人公「私」も女子大生から出版社へ就職しましたしね

なにより成人した娘と父とのほのぼのした関係が微笑ましい
娘・美希は成人し立派に独立している大人の女性ですが
「いざ!という時は一番頼りになるのはお父さん!」
お父さんも、普段は気にもしてない‟ふり”をしているけど、頼ってきたときは
「全力で、娘の力になってやりたい!」って気持ちが言葉の端端に感じられて楽しい


話の中には、実在の文学史上の著名人の名前も出てきますが
現在活躍中の作家さんを彷彿とさせる方々も登場してきます

おそらく・・・この人は人気作家のA氏かな?なんて想像しなが読むのも楽しかったです
円紫師匠を思わせるような落語家さんも登場してます


タイトル『中野のお父さん』は『中野に住んでるお父さん』って事ですね
主人公美希はまだ未婚なので、お父さんの名前は「田川何某」だと思われます

既に続巻が出ているので、近々そちらも読みたいと思ってます

2019.07.27 
♪ずいずいずっころばし、ごまみそずい
茶壺に追われてどっぴんしゃん♪

お茶壷道中
『お茶壺道中』 梶よう子・著


幕末・茶畑家が広がる宇治から物語がはじまります

茶園で働く両親の元に生まれた仁吉は、宇治のお茶と
毎年将軍家へ献上される新茶を運ぶ「お茶壺行列」が大好きな男児

仁吉は12歳になった春に、江戸にある葉茶屋「森山園」に奉公に出る
茶を見極める優れた目を持つ仁吉は、主人・太兵衛に目をかけられ
厳しいけれど、何より宇治の茶の誇りを胸に商いに精を出す

黒船来航により、これからは異国との商いも重要と目をつけた
主人・太兵衛の想いを継ぎ、開港し異人たちが多く住みはじめた横浜への支店開店を目指す

尊王攘夷の嵐が吹き荒れ、政も不安な中
幕府・江戸の町を支え続けてきた商人達も、生き残りをかけて新たな商売の道を模索する

12歳で奉公に出て、20歳にして森山園の屋台骨となる番頭にまで出世した仁吉=仁太郎
時代もあるのでしょうが、10年程の物語ですがスピーディな展開で飽きずに読めました


そういえば、「新茶」の季節を過ぎてしまいましたね

美味しいお茶・煎茶を飲みたくなりました

2019.07.22 
『縁見屋の娘』の続編
運命の子
『京の縁結び 縁見屋と運命の子』 三好昌子

舞台は京都
絵師の父と宿屋に通い女中として働く母、親子3人慎ましく穏やかな日々を送る貴和

貴和が6歳のある日、母の奉公先からの帰り道異形の法師に襲われる
大鷹と燕児という不思議な男の子に救われ、なんとか難を逃れたが
その翌日、母は父に離縁状を残して消息を絶ってしまう

母失踪から11年、17歳になった貴和は母の奉公先であった宿屋で同じように女中として働いていた
11年前のあの事件の時に知り合った、京の薬種問屋の一人娘・雪乃達と久しぶりに再会
雪乃は貴和に「自分付の小間使いとして働いて欲しい」と請われ、雪乃の家「白香堂」で働くことに
その店で、今は医師見習いとして働く「縁見屋」の息子・燕児とも再会する
しかし、燕児はある事情から「言葉を一切話さない」ことになっていた


使用人の立場ながら、妹か友のように接してくれる雪乃
行方知れずになった母や、怪しげな画を描くようになってしまった父
心配事は尽きないが、束の間穏やかな日々を送る貴和

同じ頃京都の町では、辻斬りと
壮健であった若い人が急速に衰え老人のようになって亡くなる奇病が流行する
雪乃の知り合いの娘も罹患してしまう そして雪乃も

その病気の原因に、11年前京都を襲った大火事とそして貴和親子を襲った異形の法師の存在がちらつく
そして、辻斬りの下手人として貴和の父が捕縛されてしまう


父の無罪と、奇病の原因を探る貴和と燕児
2人の前に、貴和をなにくれとなく助けてくれている浄雲が
病の原因と治療法は、燕児の「前身」と貴和の中にある「根」が関係しているという

17年前の京都の大火事と、その前燕児の生まれる前
彼の母「縁見屋」のお輪と帰燕上人との邂逅からはじまっている事が分かる




前作に比べると、随分と怪異性というかファンタジー色が強くなったような気がします
本作の主人公は貴和ですが、物語の核を握っているのは燕児
物語は貴和目線で語られてくので、燕児の心の機微がイマイチ伝わってこなかったのが残念

私自身は楽しめて読む事が出来たので、いつか燕児側からの物語を読んでみたいと




「縁見屋の娘」でお輪のその後が少し心配でしたが
ずーっとお輪を傍で見守っていた徳次と夫婦になり、
燕児の他に子供にも恵まれ穏やかな日々を送っていたようで良かったね!と






2019.07.16