美しい肖像画の裏に隠された血塗られた人生とは?
残酷な王と哀しみの王妃
『残酷な王と悲しみの王妃』 中野京子・著

近々時間を見つけて観にいこうと思っている【怖い絵】展の予習復習を兼ねて読んでみました

2冊で9人のお姫さま・王様達の生涯が肖像画の解説と共に語られていきます
スコットランド女王、メアリー・スチュアート
スペイン王女、マルガリータ・テレサ
バイエルン王、ルードヴィヒⅡ世 
西洋史に疎い私でも知ってる有名人から
ソフィア・ドロテア カロリーネ・マティルデ と“お初”の方まで
 
ディズニーやおとぎ話であれば
『お姫様と王子様は恋に落ち結ばれ、末永く幸せに暮らしました めでたしめでたし』
がセオリーですが、現実のお姫様王子様方は、なかなかに悲惨です・・・・

現実のお姫様王子様は、その存在自体が“政治の駆け引きの道具”だものね
思うままの人生 幸せな結婚 温かな家庭 なんて望むべきものではないし
王族に生まれおちた瞬間から
庶民の平凡な幸福感など知らないんだろうし考えもしない事だとは思います
まぁ、こういってしまったら元も子も無いと思いますが
現実のお姫様方は、あまり幸せな生涯を送る事は無いから
おとぎ話の中だけは、万人が羨むような夢物語が語られ続けるんでしょうね・・・・


【芸術の秋】ですしね
本書も面白く読むことができました
中野氏の著書に絵画に纏わる書籍が他にたくさんあるので
この秋はたくさん読んでいきたいと思います


好きなんですよ~~歴史の裏話とか暗黒史とか~【怖い絵】展楽しみ
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2017.10.15 
久しぶりの三國志 そしてやっぱり吉永氏
猛徳と本初
『猛徳と本初』三國志官渡決戦禄 吉川永青・著

“三國志モノだ~♪”と手に取ると、吉川氏の作品に当たる率が高いです!

三國志の中で有名な戦や、何は無くとも『赤壁』が一番注目されますが
長い長い三國志(演義込み)の前半戦の見せ場?である
曹操と袁紹 が雌雄を決した 官渡の戦いを描いた物語です

戦の経過及び結末は周知の事なので割愛

吉川氏は歴史上の人物を“血肉が通っている”人間として描いてくれています
孔明や周瑜、「参謀フェチ」の私にとって
曹操が荀攸・荀彧・程昱らと策を練っている場面は、もう鳥肌モノです
切れ者達が悪巧み策を練る姿はゾクゾクします
(うちの会社の経営陣や、政治家も時にこんな顔しながら、あれやこれや悩んでいるんかしら~?とかね^^?)

曹操と袁紹 は“幼馴染”で若かりし頃は一緒に数々の悪行?をした事は有名な俗説
その彼らが、結局袂を別ってしまったけれど
怜悧な乱世の梟雄と言われながらも“出来る男”曹操に対して
名門袁家の坊ちゃんという血筋以外に誇れるものがない“ぼんくら”袁紹
っていうのが、一般的なイメージだと思うのですが

吉川氏の描く袁紹 は、ぼんくらだけでない
己が到底及ばない曹操の才を認めている
名門故に曹操のような常識外の生き方が出来ないジレンマが描かれてます

袁紹 にいいイメージがなかったのですが(やっぱり“ぼんくら坊ちゃん”って思ってたので)
吉川氏の描く袁紹 は好きですね



官渡の戦いの勢力図を改めて見ると、赤壁の魏vs呉(+劉備)より面白いですね
三つ巴 どころか、四つ巴 五つ巴?
何より官渡の頃が、曹操の参謀達が一番充実していた頃なのでは?と思うのです
郭嘉がまだ元気!でしたしね



☆ 劉備はやっぱり、吉川氏にもガラの悪い“渡世人”扱い・・・^^;

2017.10.12 
『花子とアン』的な話と思ったら違っていました
明治乙女物語
『明治乙女物語』 滝沢志郎・著
倒幕・明治維新が直ぐ“隣”に感じられ「鹿鳴館」華やかなりし明治21年
女子教育の最高峰「御茶ノ水の高等師範学校女子部」が舞台です
背が高く美しい生徒達の憧れの的の“野原咲”寮の同室である“駒井夏”達は
文部大臣・森有礼が主催する舞踏会に出席していた
その席上で爆発事件が起こってしまう

計らずも事件の謎を解明しようと乗り出した咲と夏
事件の鍵を握るであろう混血の車夫・久蔵と出会う
咲と久蔵は幼い頃一度だけ出会ったことがあり
久蔵の出生の秘密と生い立ちを負ううちに
女子教育の黎明期を生きる2人も、自身の措かれた立場の理不尽さと
己の生きる道を見つけていく




タイトルとカバーイラストで、謂わば“ジャケ読み”をしてしまいました
丁度BSで朝ドラの『花子とアン』を再放送していて“そーいう話”と思って手に取ったのですが
違った・・・・

でも、内容は面白かったです!
実在の人物(森有礼・捨松、唐人お吉等)や事件も絡めていて
三島由紀夫の『鹿鳴館』をベースに書かれているのでしょうか
物語後半は、『鹿鳴館』のスッピンオフって感じで読んでいました

あまり深くは語られていませんが、明治の世になってからの
倒幕派(薩摩・長州等)佐幕派(旧幕臣・会津)出身者との葛藤とか描かれてます



読後知った事ですが『松本清張賞』を受賞した作品でした
映像化したら面白そうです
久蔵目線で、ハードボイルド風に
咲達“女生徒”目線で描いたら、宝塚風になってそれも面白そうです


2017.10.09 
江戸町名主の跡取り、麻之介達が活躍する「まんまこと」シリーズ6冊目
ひとめぼれ
『ひとめぼれ』 畠中恵・著

恋女房・お寿ずを亡くした麻之介
お安を嫁に迎え、亡き父の後を次ぎ名実共に町名主になった清十郎
同心見習いとして日々精進する吉五郎

本書には6つのお話が収められていますが
「縁談」に関わる男女の思いに任せない“こんぐらかった”物語が語られていきます
お寿ずに似た“おこ乃”の縁談話も持ち上がります
麻之介のおこ乃に対する“思い”が透けてみえた『言祝い』
・・・・この時代は身分制度がしっかり根付いている時代
身分違いの恋は思うに任せないのですね・・・・どうなるんでしょう?


そして、吉五郎の幼い許婚“一葉”は恋するお年頃
「吉五郎さんが一番強かったので、嬉しかった」と言っていた一葉ちゃんが!!
まさか、まさかの余所見しちゃった!!!
歳の差カップルながら、吉五郎と一葉ちゃんは安泰と思っていたのに、ココに来て急展開!!
どうなる「相馬家」

シリーズも6作目となると、登場人物たちも「大人」になっていく訳で
“お気楽跡取り息子トリオ”もそれぞれの立場で責任を負うようになってきて
シリーズ1作目の時のようは“はっちゃけ”振りが随分大人しくなってしまったようです
ちょっとそれが寂しいような気も・・・・

本書では、吉五郎の養父・相馬小十郎さんが“出張って”ます!

次作では、娘一葉と吉五郎の進展も気になりますし
未だに心の中でお寿ずに語りかけている麻之介の今後も気になる所です
お寿ずの事を忘れて欲しくはないけれど、貞がいう「男はひとりじゃ、寂しいですから」
と言う気持ちも分かる・・・・

「高橋家」「八木家」「相馬家」三家の今後に「幸あれかし」と祈るような気持ちです

2017.10.07 
「読書の秋」そして「食欲の秋」
マカロンはマカロン
『マカロンはマカロン』 近藤史恵・著
フレンチビストロ・パ・マルを舞台にした“グルメミステリー”の新刊です

ギャルソン・高築くんが語る8つの物語が収められます

苦すぎたり癖があったり素材そのままではとても食べられないモノが
シェフの腕ひとつで極上の一皿になるような
今回もそんな物語です

赤いベリーをたっぷりつかった“タルト・フリュイ・ルージュ”が夫婦の秘密を暴く
『青い実のタルト』

文化風習の違う異国人同士の結婚を円満に結びつけた
『追憶のブーダン・ノワール』

異国の地での恋物語とブリオッシュに託されたメッセージ
『ムッシュ・パピヨンに伝言を』

嫁姑の確執・・・・このお話は既婚女性にはなかなかに冷や汗モノ
『タルタルステーキの罠』


本作も、深読みすればなかなかに難しい、スパイスが効きすぎてるような人間関係
のあれやこれやが語られていきます

最初に収められた物語『コウノトリが運ぶもの』
厳格な父親との確執に悩む女性
父親が遺した一つのお皿から、父親の真意を知り和解をする話

私も父が倒れる前、ほんの些細な事からケンカをしてました
それが今でも喉にひっかかった骨のように感じているので・・・・



秋といえば、「読書」と「食欲」
“ビストロ・パ・マル”は、その両方を一気に満たしてくれるシリーズです

美味しいフレンチと“ヴァン・ショー”が飲みたくなります

2017.10.02